M.バイタリ著
B6判 187頁 1,404円(税抜1,300円)
白血病と闘った少年の記録。小学生で天に召されたクリスチャンの少年とその家族の感動的なあかし。神を信頼する者が経験できる勝利の記録。
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わが子ジェイソン
マーサ・バイタリ著
目次
まえがき
紹介
第一章 止まった時間
第二章 現実
第三章 メリーエレン
第四章 悪い知らせ
第五章 援助
第六章 カリフォルニア
第七章 ホープ市(希望の町)
第八章 歌声
第九章 移植
第十章 近づく誕生日
第十一章 帰宅
第十二章 嵐の中の静けさ
第十三章 レベッカ
第十四章 心の備えなく
第十五章 心優しいメッセージ
第十六章 解き放たれて
第十七章 その時まで
エピローグ
まえがき
病はすべて神の御許しのうちにあります。ジェイソンもこのことを受け入れていました。彼と出会い、彼を愛した方ならみな、彼のことを語るとき、まずこの事実に注目なさるのではないかと思います。彼の確信は、しっかりとした認識に基づいたものでした。彼は、自分が重い病気にかかっていることを初めて知ったときも、主はご自分がなさっていることをご存じだということを理解していたのです。彼の信仰は子どもらしい、実に純真なものでした。すべてを知り尽くし、すべての状況を支配なさるお方を心から信頼していたのです。彼は、できる限り普通の生活を送りたいと願っていました。しかし、たとえその願いがかなえられないときでも、彼のことばをそのまま借りれば、「すべてが主の御手のうちにあった」のです。
彼は、自分が天国に行くことを確信をもって語りました。まるで、もうすぐ旅行にでも出かけるかのように。彼は、とても子どもとは思えないような観点で物事を見ていました。彼が人生を見つめていた窓は、空想や、つかの間の喜びで曇ってはいませんでした。魅力的で元気はつらつとした彼は、普通の子どもが経験するさまざまな活動をすべて満喫しました。学校に通い、本を読んだり、何かに夢中になったり、友だちと遊んだり……。しかし、彼には、周囲の人々の注意を引くきびしい現実もありました。ジェイソンに弔辞を書くよう言われたとき、五年生だった同級生たちが思い出したことは、ジェイソンが好きだった「四輪車の冒険」のことではありませんでした。子どもたちが思い出したのは、彼の親切であり、その誠実な人柄であり、他人のことをいたわる心、他人を思いやる心でした。そして、「彼の優しさは、ほかの子どもたちの優しさとはどこか違う、何か特別な優しさだった」ということでした。
ジェイソンは、病という現実を一つの機会として捕らえ、自分が信じているお方を人々に伝えようとしました。救い主なるキリストこそ永遠に所有することのできる唯一の資産であると。彼が死を迎えたとき、私は彼のそばに座り、その「小さな船」が向こう岸へゆっくり渡って行くのを見届けました。短い人生でした。嵐のような航路でした。しかし、ジェイソンは世を去って、キリストとともにいるのです。そのほうが、はるかに優っているのです(ピリピ人への手紙一章二三節)。彼は、あるお方によって「ふるさと」へ迎えられたのです。そのお方にお会いしたことはなかったのですが、そのお方をよく知っていました。まだ幼かったジェイソンが頼っていたお方――救い主イエス――は、御約束どおり彼の生涯の友となってくださったばかりか、向こう岸で彼を温かく出迎えてくださったのです。
ジョイ・プロコーピオ
紹 介
どの母親にとっても、自分の子どもは特別な存在です。いのちが誕生した瞬間、何か魔法のようなものが働きはじめます。そのときから、母親というものは、自分の外側で、「もう一人の自分」が別の役柄を演じているような気がするのです。私は七人の子を授かりましたが、どの子も私にとっては特別な存在です。長男とか、末っ子とか、家族の中での子どもたちの立場はそれぞれに違いますが、どの子も特別だと思う気持ちに変わりありません。私は、ジェイソンの優れた一面を他人に印象づけようとして、この本を書いたのではありません。神が私たちの必要をすべて満たすためにお採りになる驚くべき方法をご紹介したかったのです。ジェイソンは、純真な信仰をもって、主のみこころに従い、私たち全員の模範となりました。彼の物語は、大きな悲しみの記録でもなければ、敗北の記録でもありません。神に信頼を置く者がどのような勝利を経験できるか、それを記録したものなのです。
夫のウェスと私は、ジェイソンの「物語」でさまざまな役割を果たしてくださった方々全員に、心から感謝したいのです。しかし、限られた紙面では、すべての方々のお名前をあげることはできませんでした。だからといって、そのような方々のことを忘れてしまったわけではありません。
病院の方々には、ずいぶんお世話になりました。長年の間、親身になって、私たちを支え、私たちのために労してくださいました。そのお心遣いを忘れることはないでしょう。
親戚の方々にも、家族同様のおつき合いをしてくださった多くのクリスチャンの方々にも、ずいぶんお世話になりました。皆様方のお力添えなくしては、この「物語」が完成することもなかったでしょう。
ニューハンプシャー州とメリマック・バレーの皆様に心からの感謝を申し上げます。頂いたお便りによって、そのあふれ出る愛とお心遣いによって、どれほど励まされたことでしょう。ジェイソンを励まそうとして、たくさんの子どもさんたちが、絵を描いたり、手紙を書いて送ってくださいました。写真や「お守り」を送ってくださった子どもさんもいました。どれも心温まるものばかりでした。一度もお目にかかったことのない方々が、新聞で読んだだけの少年に、貴重な時間を割いて手紙を書いてくださいました。お一人おひとりに、どのようにお礼を申し上げればよいのかわかりません。この本によって、その気持ちが少しでもお伝えできればと願うばかりです。感謝の気持ちが私たちの心から消え去ることは永遠にないでしょうから。