問いと答え
月刊「みちしるべ」(「問いと答え」欄)選集
塩田 多三郎 著
目次
1 人生、苦しみ、宗教、キリスト信仰について
2 聖書への疑問について
3 キリスト信仰への疑問について
4 神について
5 死について
6 罪について
7 キリストのみわざについて
8 救いについて
9 救いの確信を持つために
10 その他
質問一覧
推薦のことば
月刊「みちしるべ」に長年にわたって掲載された「問いと答え」が、このたび選集として出版されますことを、心から喜び感謝しております。
本書では、「人生に関する疑問」や「聖書に関するいろいろな質問」に的確に答えられており、初めての方にも非常に理解しやすい説明となっています。
したがって、人生の悩みを持っておられる方、聖書に興味を持って初めて読まれる方に、神を知るための良き案内書として読んでいただきたいと心から願っています。また、私たち信者も、まことの神さまを知らない多くの方に伝道するための案内書として、活用させていただきたいと思います。
本書は、敬愛いたします塩田多三郎兄が老体にむちを打って執筆された著作の中から、代表的な記事を選び出し、編集したものです。出版にあたり、ご指導を賜った藤本光夫兄に感謝申し上げます。
どうか、神さまが本書を祝用してくださり、この本を読まれた一人ひとりの方々の上に神さまの恵みが豊かにありますように祈っております。
木野田 信道
1 むなしさを感じながら毎日を過ごしています。人は何のために生きているのでしょうか。
これは人生の根本的な問題と言えるでしょう。
私たちの周囲には、目的や用途のないものはありません。ところが、「あなたは何のために生まれてきたのですか」と問われると、そう簡単には答えられません。それに、このような疑問を感じている人は少ないように思えます。それどころか、現実の多忙な生活の中で、自分の欲望を満たすことに熱中しているように見えます。
さて、私たちは、だれひとりとして自分の意思で生まれてきたわけではありません。自分の意思とはかかわりのない他者の意思によって存在させられているのです。それがいったい何者であるのか、また、私たちが何のために生かされているのかを知ることが、つまり、人生の目的を知ることなのです。他者の意思とは、人間を創造したお方の意思であり、それこそ万物の創造主である神の意思でなくて何でしょう。
神が人間を創造されたことについて、聖書は次のように語っています。
「神は仰せられた。『さあ人を造ろう。われわれのかたちとして、われわれに似せて』。神は人をご自身のかたちとして創造された」(創世記一章二六、二七節)。
神が人間を創造された目的については、次のように記されています。
「わたしの栄光のために、わたしがこれを創造し、これを形造り、これを造った」(イザヤ書四三章七節)。
すなわち、「神は、ご自分の御名がほめたたえられるために、ご自分のかたちに人間を創造された」と聖書は語っているのです。造られた者が造った者の意思に服従し、それに仕えるのは当然のことです。神は、私たち人間が神を知り、心から神を愛することを望んでおられるのです。
「神を愛する」とは、具体的には、神の戒めを守ることです。「神を愛するとは、神の命令を守ることです。その命令は重荷とはなりません」(ヨハネの手紙第一・五章三節)。神の命令については次のように記されています。
「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ』。これがたいせつな第一の戒めです。『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです」(マタイの福音書二二章三七-三九節)。
これは、律法(旧約聖書の教えや戒め)の専門家が尋ねたとき、イエス様がお答えになったみことばです。
神を愛し、隣人を愛する人間が真の人格者です。人が真に「愛の人」となるとき、その人の人格は完成したと言えます。この愛が、いわゆる男女間の愛とか恋愛とかいったものではなく、神の愛であることは言うまでもありません。人間が生来持っている愛は、肉的な愛、自己中心的な愛であり、神に喜ばれる純粋な愛ではありません。真の愛は、神を深く知り、神に仕えることによってのみ知ることができます。人生の目標を神に置く者だけが、意義ある人生を送ることができるのです。
「あなたがたは、食べるにも、飲むにも、何をするにも、ただ神の栄光を現すためにしなさい」(コリント人への手紙第一・一〇章三一節)。
これこそ人生の究極の目的です。神と人とのために生きることこそ、人生の目的です。どうかあなたも聖書を読まれ、イエス・キリストの愛をお知りになりますように。そして、この救い主を信じて、たましいの救いにあずかり、意義ある人生、生きがいある人生を送られますように心からお勧めします。
質 問 一 覧
人生、苦しみ、宗教、キリスト信仰について
1 むなしさを感じながら毎日を過ごしています。人は何のために生きているのでしょうか。
2 「生きがい」とは何でしょうか。その日その日を大切に過ごすことでしょうか。
3 物欲にとらわれ、快楽を追い求めるこの時代の中で、時々むなしさを感じます。でも、宗教にも抵抗を感じます。クリスチャンの友人は「いつも平安だ」と言っていますが、キリスト教に入ると本当に平安な心になれますか。
4 長い間、不治の病に悩まされていますが、キリスト信仰によって病が治る望みはありますか。
5 キリスト信仰のことを考えると、クリスチャンのような「弱い者」にはなりたくない、という思いが先に立ってしまうのですが……。
聖書への疑問について
6 私は聖書に興味を持ち、旧新約聖書を買い求めましたが、どこから読み始めようかと迷っています。
7 聖書を初めて手にしました。「聖書を読む心得」といったものは、あるのでしょうか。
8 私はたまにキリスト集会(教会)の伝道の集まりに行ったり、家で少しずつ聖書を読んだりしていますが、ほとんど意味がわかりません。また、興味もわいてきません。聖書を楽しく読むことができれば、また、自分の人生にとって有益なものにできればと願っているのですが。
9 聖書は、いつごろ、だれによって書かれたのですか。
10 聖書はなぜ旧約聖書と新約聖書に分かれているのですか。
11 聖書を買い求めて少しずつ読んでいますが、書いてあることは、すべて真実なのでしょうか。誤りはないのでしょうか。
12 聖書はすべて人間の手によって書かれたのに、神のことばであると、どうしてわかるのですか。
13 聖書が神の霊感によって書かれたとは、どういうことですか。
14 聖書にある啓示について説明してください。
15 マタイの福音書を読み始めましたが、無味乾燥に感じるこの系図には、どんな意味があるのですか。
キリスト信仰への疑問について
16 キリスト教、ユダヤ教、イスラム教は旧約聖書でつながっていると聞いたことがありますが、説明してください。
17 私は法華経の信者です。聖書の話を聞くと、法華経の教えと同じように思うのですが、どう違うのですか。
18 私は若いころから仏教やキリスト教に関心を持っていますが、人間の救いということについては結局同じように思えるのですが、違うとすればどう違うのでしょうか。
19 クリスチャンでなければ救われないのですか。
20 純粋で汚れのない人でないとクリスチャンになれませんか。
21 キリスト教に関心を持っています。キリスト教信仰かキリスト信仰か、どちらが正しい言い方ですか。
22 聖書と科学は矛盾していないのでしょうか。
23 聖書に書かれている奇跡物語は本当にあったことですか。非科学的なことに思われるのですが……。
24 聖書に出てくる奇跡を、もし目の前で見せられたら、私も神を信じようと思うのですが……。
神について
25 神様は本当にいるのですか。
26 神が存在しているということが、どうしてわかるのですか。
27 聖書には神が宇宙を造ったと書いてあるそうですが、その神はだれが造ったのでしょうか。
28 進化論があるのに、なぜ「人間は神によって創造された」と言うのですか。
29 神は何のために人間を創造され、自然を造られたのですか。
30 私は、神が(人間も含めて)すべてのものを創造したということは信じることができるようになりましたが、その神が、今の私とどのようなかかわりがあるのかわかりません。それを知りたいのですが……。
31 「キリスト教では、神はただひとりである」と聞いていますが、私たち日本人の神々とかなり違います。説明してください。
32 キリスト教では神はただひとり(いわゆる唯一神)であり、また、三(さん)位(み)一体の神であるとの教えであると聞いています。三位一体の神についてわかりやすく説明してください。
33 聖書には「主」ということばがたくさん出てきますが、どんな意味があるのですか。
34 神は愛だとよく言いますが、神の愛とは何ですか。私はそのようなものを感じたことがないのですが……。
35 愛なる神が存在するなら、なぜこの世にたくさんの苦しみや悲しみがあるのでしょうか。
36 キリスト教だけが救われるのですか。ほかの宗教も神様を信じているのですから、救うべきだと思います。キリスト教しか救わないなら、キリスト教の神様は愛がないと思いますが。
死について
37 聖書は死についてどのように教えていますか。
38 人間は死んだらどうなるのですか。
39 私は若いころは健康でしたが、年を取ってからは何度も入退院を繰り返しています。入院すると、死のことについて真剣に考えますが、退院すると考えなくなります。考えても答えがないためですが、聖書には答えがあるのでしょうか。
40 新約聖書に記されている「よみがえり」、すなわち復活と、霊魂不滅説とはどう違うのですか。
41 聖書にある「地獄」の教えを信じることができません。仏教にも地獄の教えがありますが、本当に実在するのですか。
42 神は愛の神であり、全能の神なのですから、最終的には、すべての人をお救いになるのではないでしょうか。聖書には、「神は、すべての人が救われて、真理を知るようになるのを望んでおられます」とも、「小さい者たちのひとりが滅びることは、天にいますあなたがたの父のみこころではありません」とも記されています(テモテへの手紙第1・2章4節、マタイの福音書18章14節)。ですから、永遠にわたる地獄の刑罰を下すとは考えられないのですが。
43 クリスチャンは死んだら天国に行くと言いますが、天国はどこにあるのですか。
44 聖書が語る永遠のいのちについて教えてください。
45 キリスト教の天国、仏教の極楽――これらのことばは、死後の世界について全く不明の人間の気休め、観念にすぎないと思うのですが。
罪について
46 聖書を読むと、あるいはキリスト集会(教会)に行くと、「罪」とか「罪人」とかいったことばを見たり聞いたりしますが、その意味を知りたいのですが。
47 人間を罪人呼ばわりしているのはキリスト教だけだと思いますが、人間をどうしてそんなに悪い者として見なければならないのですか。
48 原罪について説明してください。
49 全知全能の神なら人間が罪を犯すことは知っていたと思うのですが、それなのになぜ善悪の知識の木をエデンの園に置いたのでしょうか。それがなければ人間は罪を犯さないで済んだと思います。神様の愛が矛盾しているように思うのですが。
50 私は、聖書は良い本であると思っていますし、暇をみて読んでいます。私なりにキリストのことを知っているつもりです。現在、幸福な家庭生活を送っているので不満もなく、神に頼る気持ちにはなりません。教会に行く時間もないし、行ってまでも一生懸命やるつもりはありません。いずれ必要に迫られれば行くことになるでしょう。人間は、別に人に迷惑をかけていなければそれでよいのではないでしょうか。また、何か問題が起これば自分で判断し、自分の責任において解決しなければならないのですから、神を信じても信じなくても結局は同じではないでしょうか。
51 世の中にはクリスチャンでなくても高潔で立派な人々がいます。そのような人も罪人ですか。
52 キリスト集会(教会)に行って聖書の話を聞くたびに、「罪」とか「罪人」とかいうことばをよく耳にしますが、私自身、別に法律に触れるようなことも、他人(ひと)様(さま)に迷惑をかけるようなこともしていません。聖書に記されている罪とは、どういう意味なのでしょうか。
53 世の中には悪い人もいますが、善い人もたくさんいます。その人たちは善や悪をわきまえ、善い人になる努力をしています。キリスト教はなぜ一方的に、人は罪人だと決めつけて「救い」を説くのですか。
キリストのみわざについて
54 イエス・キリストはどこの国の人で、いつ生まれましたか。十字架にかけられて殺された理由はなんですか。
55 すべてのものを神が創造したとすれば、キリストもそうですか。
56 キリストは神ですか。それとも人間ですか。
57 キリスト教では、キリストは神であり、また人であると教えているそうですが、どうしてそのようなことが可能でしょうか。また、なぜその必要があるのでしょうか。
58 クリスチャンは、イエス・キリストは神様だと言いますが、単なるひとりの人間なのではないでしょうか。キリストが死んだ後、弟子たちが勝手に神様に祭り上げたのであって、キリスト自身も自分のことを神様だとは言っていません。
59 キリストは処女マリヤから生まれたと言われていますが、処女が懐妊し、子を産むということは、自然の法則に反しているようで信じられません。本当ですか。
60 イエス・キリストが一つも罪を犯したことがなかったことは知っていますが、罪の性質は持っておられたのでしょうか。私たちと同じようにサタン(悪魔)の試みに遭われたのですから、イエス・キリストにも罪の性質はあったのではないかと思うのですが。
61 世界の三大聖人のひとりとも言われ、神の御子とも言われるキリストが、なぜ十字架につけられたのですか。
62 イエス・キリストは十字架の上で「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」と大声で叫ばれたそうですが、どんな意味があるのですか。
63 死んだ人が生き返るというのは信じがたいことですが、キリストは本当に生き返ったのですか。
64 復活(よみがえり)と生き返り(蘇生)とはどう違うのですか。わかりやすく説明してください。
65 キリストは死んだ後、復活したそうですが、その後はどうしているのでしょうか。私たちとどんなかかわりがあるのでしょうか。
66 イエス・キリストが3日目に墓からよみがえったのなら、なぜ自分で福音を全世界に伝えなかったのですか。
救いについて
67 2千年も前に十字架で死んだと言われるキリストが、なぜ現在の私たちと関係があるのでしょうか。
68 聖書に記されている「救い」について説明してください。
69 聖書の中に「贖(あがな)い」ということばがよく出てきますが、わかりにくいので、説明してください。
70 悔い改めについて説明してください。
71 新生について説明してください。
72 聖書に書いてある和解について説明してください。
73 モーセの十戒とキリストとはどんな関係があるのですか。
74 なぜ、行いによらず、信じることにより救われるのですか。
75 どんなに悪い人(たとえば殺人者)でも、イエス様を信じるだけで救われるのですか。
76 イエス・キリストを信じる者は、罪から救われたとか、罪からきよめられたとよく言いますが、信じてからも罪を犯しているように思いますが、キリストの救いは、完全ではないのでしょうか。
救いの確信を持つために
77 私はキリスト集会(教会)に1年近くも通い、聖書の話を聞いています。信じたいと思っているのですが、なかなか信じられません。どうしたら信じられるでしょうか。
78 キリストは、みんなの罪を背負って、身代わりに罰を受けてくれたと、ずっと聞かされてきて、理解したけれど、正直言うと、自分とのかかわりをいまいち実感できないのですが。
79 長い間求道している者です。自分ではイエス・キリストを救い主として信じているつもりです。しかし、自分の罪のために、イエス・キリストが十字架にかかって死んでくださったという実感がありません。どうしたら、救いの実感が自分のものとなるでしょうか。
80 救いの確信を得るには、どうすればよいのでしょうか。
81 聖書からキリストの救いについてわかってきました。しかし、一生信仰を全うする自信がありません。やっていけるでしょうか?
その他
82 私はキリスト集会(教会)へ行き始めて約1年になります。聖書の根本的な真理もかなりわかってきました。近いうちに信仰を告白をし、バプテスマを受けたいと思っているのですが、どういうわけか、近ごろ父親が反対します。どうしたらよいでしょうか。
83 福音の話を聞いて半年ほどになりました。まことの神を恐れ敬うべきことが次第にわかってきました。仏式の葬儀や法事における未信者との付き合いはどうすれば良いでしょうか。最近、この問題が身の周りに起こって動揺してしまいました。まことの神でないものを拝むことは、恐ろしくてできませんが、相手にうまく説明できず、悔しい思いをしました。
84 クリスチャンはお墓参りをしないそうですが、なぜでしょうか。
85 求道を続けている者です。クリスチャンの家庭には、ひな祭りも端午の節句も関係ないでしょうが、わが家には、去年、私の実家で買ってもらったケース入りのおひなさまがあります。それを飾ることはいけないことでしょうか。
86 クリスチャンはなぜ、酒を飲んだり、タバコを吸ったりしないのですか。窮屈なように思うのですが……。
87 あるクリスチャンのご家庭に次から次へと不幸が訪れています。なぜクリスチャンも苦しみに会うのでしょうか。
88 キリスト教でいう摂理とはなんですか。運命や宿命とはどう違うのですか。