幸福へのかけ橋
沖見 寅雄 著
目次
第一章 幸福を求めて
1 山のあなた 2 現代の矛盾 3 何によって 4 求めなさい。そうすれば……
第二章 幸福の条件
1 幸福とは 2 幸福の条件
第三章 幸福の道しるべ
1 旅と道しるべ 2 聖書とあなた 3 聖書と世界の偉人たち 4 聖書と科学
5 聖書と進化 6 聖書の中心
第四章 幸福の源泉
1 源がなければ 2 無神論者の信仰 3「見えないから信じない」
4「神を信じるのは弱い人間のすることだ」 5「神を信じると自由がなくなる」
6「神を信じると、人間の個性がなくなる」 7信じることは、ばからしいことではない
8 人間は、無限の世界に住む有限の存在である 9 人間は未知に向かって生きている
10 人間は信仰で生きている 11 人間は、それでも、まことの神を信じない
12 神に会う道 13 神は近くにおられる 14 なぜ地球には…… 15 宇宙旅行
16 だれが、これらのものを 17 生きている証人 18 科学という階段
19 自然界は語る 20 神の芸術作品 21 人体の不思議 22 驚くばかり
23 良心の声 24 聖書の声 25 幸福の源
第五章 幸福の破壊
1 人間の本質 2 聖書と人間 3 人間の本分と幸福 4 人間の自由意志
5 最初の人間 6 幸福の破壊 7 人間の未来 8 二つの道
第六章 幸福へのかけ橋
1 なぜキリストでなければ 2 主権者のゆるしの法則 3 救い主イエス・キリスト
第七章 永遠を見つめて
1 五十五年前に 2 輝く望み 3 幸福から幸福へ
第一章 幸福を求めて
1 山のあなた
山のあなたの空遠く
「幸い」住むと人の言う。
ああ、われひとと尋(と)めゆきて
涙さしぐみ、帰りきぬ。
山のあなたになお遠く
「幸い」住むと人の言う。
カール・ブッセ
この詩には、多くの人が共鳴します。また、何か心をひかれるものを感じると思います。
「さいわい」「しあわせ」「幸福」――どんな表現をとってみても、これらは何と耳ざわりの良いことばではありませんか。このことばを心から嫌う人は、おそらくひとりもいないことでしょう。
すべての人は、何らかのかたちで「幸福」を追い求めています。たとえば、世の親たちは、他人の目には狂気じみて見えること、すなわち、子どもの意志や願いをまったく無視してまで、子どもを有名な幼稚園や学校に入れようとします。また、昔は、地位や富のある家へ、なかば強制的に嫁入りさせたりしましたが、それも、裏を返せば、幸福を追い求めていることの一種の表現と言えるでしょう。そのほか、人々が一流会社への就職に全力を傾けるのも、それによって得られる結果が、自分と家族の「幸福」に直接つながっているからです。
このように、人間はだれでも「しあわせ」になりたいと思っています。そして、そうなるための方法を工夫し、いろいろな所へも出かけて行きます。事実、このすばらしい宇宙時代の進歩も、人間がよりしあわせになりたいと願った結果とも言えるのです。
「私は絶対に幸福になりたくない」と本心から叫ぶ人はひとりもいません。もしそのようなことを言う人がいるとすれば、正気ではないか、あるいは、自分の不幸をひがんで他人をねたみ、運命をのろって、「自分も幸福になりたい」という願いをまったく正反対のことばで表現しているかのどちらかだと思います。
2 現代の矛盾
私たちは、物質文明が高度に発達した時代に生きています。そして、そこから多大の恩恵を受けていることは、否定できない事実です。
今日ほど文明の豊かな恩恵を受けている時代、すなわち、生活を便利にし、人間を楽しませ、人間に多くの余暇を提供してくれる時代は、かつてなかったかもしれません。レジャーブームとか、海外旅行ブームと言われるほど、人々が人生を楽しんでいることも、それを裏書きしています。
今ほど、教育の制度や設備が整い、多くの人が高い教育を受けている時代も、これまでになかったでしょう。しかし、教育されることによって、あるいは、レジャーを楽しむことによって、人間は真に幸福になったでしょうか。法律が完備し、社会保障が進んでいることも、この時代の一つの特徴ですが、それらは人間にしあわせをもたらしたでしょうか。
かえって、犯罪が増加し、その質が悪化し、犯罪者の年齢が低下しています。そして、人々を不安と恐怖にさらしています。また、社会保障の進んでいる国で、自殺者が跡を絶たないという皮肉な現象は、いったい何を物語っているのでしょうか。
今日、人類は、学問の発達によって、人間の肉体と精神について、より多くのことを知っている時代に生きています。その点では、他の世紀に生きた人類と大きく異なっていますが、妙なことに人間は、自分自身について知れば知るほど、しあわせから遠ざかっているように見えます。
何かが欠けているようです。しかし、その「何か」とはいったい何なのでしょうか。
「真の幸福をとは」、このテーマを主題に色々な疑問を読者になげかけ非常に分かりやすい形で答えています。 本書を読み終えた方には、きっと誰もが求める真の幸福を決して環境や時の流れに支配されることのない本当の幸福を知っていただけると思います。ぜひ、「幸福へのかけ橋」をお読みくださり、 今もあなたに優しく語りかけておられるキリストの救いを知って下さい。